主な内容

１章　現代人の腰痛が増えている本当の理由
２章　身体重心を知るほど腰痛の正体が見える！
３章　腰痛・肩こりは身体重心の前方化で楽々改善！
４章　身体重心が簡単に前方化する１日５分「３つの体操」
５章　これが二度と痛みを起こさない身体作り

立ち読み

はじめに　身体重心の移動で腰痛が劇的に改善

　私は、今までに５万人以上の方のリハビリと施術を行なってきました。

　私が理学療法士として働き始めたころは、腰痛を訴える患者さんをなんとしても治したいという熱い思いで、痛みを訴える腰をひたすら治療していました。腰が痛いのだから、腰を徹底的に診ることで改善を図ろうと考えていたのです。

　しかし、今は大きな間違えだったと痛感しています。なぜなら、いくら腰の改善に取り組んでも状態が良くなるのは一時的だからです。２、３日経つと、また腰痛がぶり返してしまいます。リハビリの施術を行ないながら、そのときだけ改善すれば本当にそれでいいのか、このままでいいのか、ずっと疑問を抱えていました。

　そんなとき、40代で出産し、腰痛で悩んでいる方に出逢いました。この女性は、産後に体型が戻らず、いつも腰痛があるといいます。その場で腰に治療をしましたが、一向に改善しません。一時的にも改善しないのはなぜなのか、私はすごく悩まされました。

　あらゆる可能性を検討しつくしたところで、気づいたことがあります。もしかしたら、産後、身体の重心の位置が本来の位置に戻っていないのではないか。

　それまで数多くのリハビリや施術を行なっていましたが、なぜか身体の重心の位置に関心をもつことはまったくありませんでした。その後、身体の重心の位置について徹底的に研究していくと、腰痛と驚くほど密接に関係していることが明らかになってきたのです。

　そして、腰痛を改善するもっとも効果的な方法は、本来の位置からズレてしまった身体の重心の位置を本来の位置に動かすことだったのです。

　この40代の女性も、身体の重心を前方に動かすことで、腰痛が劇的に改善しました。

　それからは、いろいろな治療院に通っても腰痛が改善しないという方や、毎月1回はぎっくり腰になるという方、腰が痛くて杖を使っていた方……じつにさまざまなタイプの腰痛を抱えた方が改善される事例が増えていきました。

　私は普段、施術をしながら、身体の重心が後方にズレていることに腰痛のいちばんの原因があること、その重心を前方にちょっと動かすだけで腰痛が劇的に改善することを説明します。日常生活の中で身体の重心を意識してもらうためです。

　そして、自宅で誰でも簡単にできる「３つの体操」を１日５分、１週間単位で行なってもらいます。たったこれだけで腰痛がぶり返さない身体に変わっていきます。すでに実践しているたくさんの方たちを見ていますと、よほど重度の腰痛でないかぎり、私が直接施術しなくてもこの「３つの体操」を行なうだけで腰痛改善や再発予防ができることもわかってきました。しつこい肩こりが改善したという方もたくさんおられます。

　このことをもっと広く腰痛や肩こりで苦しんでいる方たちにお伝えしたい。治療家の方たちのお役にも立ちたい。このような願いから、本書を執筆することにした次第です。

目　次

治療家が知りたがる腰痛改善法 １日５分「３つの体操」で体の重心を変えるだけ……もくじ

はじめに　身体重心の移動で腰痛が劇的に改善

１章　現代人の腰痛が増えている本当の理由

姿勢が悪いと腰痛や肩こりが起こりやすい

身体重心が後方化すると腰の関節がスムーズに動かなくなる

腰部の関節運動が不安定になる原因は３つ

身体重心のズレこそ腰痛のいちばんの原因

２章　身体重心を知るほど腰痛の正体が見える！

身体重心の位置が後方化すると腰への負担が増える

医療現場で実証した腰痛改善

身体重心を後方化させる現代人の生活スタイル

腰骨の湾曲が無くなると腰の筋力も低下

身体重心の後方化で筋力は約30％も低下

身体の作用、反作用の力も低下

“痛いから動かさない、動かさないからもっと痛い”を脱出

３章　腰痛・肩こりは身体重心の前方化で楽々改善！

かえって腰痛がひどくなる対処法

痛みを感じたら、まず前屈みと後ろ屈みで腰痛をチェック

身体重心の後方化の程度をチェックする簡単な方法

①四つ這いになって背中をどれくらい上下できるか？

②深いしゃがみ込みがどれくらいできるか？

③壁に背中を付け肩の後ろを付けられるか？

身体重心を前方化するための３つのポイント

４章　身体重心が簡単に前方化する１日５分「３つの体操」

１日５分、３つの体操をするだけ

①骨盤前方化体操

②胸椎前方化体操

③頭部前方化体操

月曜日：「山谷体操」と「ひざ曲げのお尻上げ体操」

火曜日：「足内入れ体操」と「背中持ち上げ体操」

木曜日：「肩内入れ体操」と「手足開き体操」

金曜日：「横脚上げ体操」と「横腹体操」

土曜日：「バンザイスクワット体操」と「壁ドスンスクワット体操」

呼吸を意識すると血流がよくなり自律神経が整う

身体重心の前方化にはダイエット効果も

５章　これが二度と痛みを起こさない身体作り

危険な腰痛３つのタイプ

腰痛を起こしやすい生活環境・生活習慣を改善

これが産後特有の腰痛への対策

何となく運動しても腰痛改善は望めない

腰痛は食事とも深く関係

腰痛には精神的な影響も大きい

おわりに

プロフィール

酒井　隼（さかいじゅん）

（株）Terrace J代表。理学療法士。身体重心評論家。美と健康のプロデューサー。

宮崎県延岡生まれ。（インスタ：terrace_j.2018）

17歳のときに膝の靱帯を断裂し手術したことがきっかけで、理学療法士の道に進む。８年間の整形外科病院勤務時代に延べ50000人以上の施術を経験する。その経験と研究データの精査によって、より臨床に根付いた治療法を考案。体の変化を実感しやすいと好評で、「ゴッド」の異名を持つ。この治療法は患者だけでなく、各方面から注目される。医療機器メーカーの老舗である伊藤超短波株式会社が主催する講演会では、柔道整復師や理学療法士などの治療家に向けて情報を提供。講演は北海道から沖縄まで全国各地で実施。解剖学と運動学を応用した講演内容の評価は高く、「結果が出る腰痛の治療戦略」「結果が出る膝痛の治療戦略」を提唱している。