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総合出版 コスモ21

頭にいい、体にいい、楽しい本満載!

60歳からはじめる寝たきりにならない超簡単筋力づくり

60サイカラハジメルネタキリニナラナイチョウカンタンキンリョクヅクリ

1日10分 楽しくできる周東式室内運動20種

周東 寛著

百歳までも歩ける筋肉をつくる運動法

30代を境に筋力が下降期に入る中高年の体で筋肉がどんな役割を果たしているのか、筋肉の増減がどうして起こるのかをわかりやすく説明。スポーツや趣味、労働のために筋肉を鍛えるというより、百歳までも歩ける体をつくるために、楽しく無理なく筋肉を鍛え、死ぬまで寝たきりにならずに歩ける筋肉をつくる、簡単・いつでも・室内でもできる20の運動法を紹介する。

主な内容

Ⅰ 「筋力の低下」が老化を加速
Ⅱ 意外に知らない六〇歳からの筋肉
Ⅲ これからでも筋力がつく超簡単運動法
Ⅳ 六〇歳から身につけたい体にいい運動習慣
Ⅴ 中高年の体の中でほんとうに起こっていること

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60歳からはじめる寝たきりにならない超簡単筋力づくり
価格
1430円(本体1300円)
判型
四六判
頁数
160 頁
発行日
2012.6.4
ISBN
978-4-87795-232-7

立ち読み

はじめに

筋力の低下が老化を加速

 自分の体のことで、
「ああ、年を取ったな」
 と感じるのはどんなときですか。
 患者さんにたずねると、いろんな答えが返ってきます。

「最近、体を動かすのが億劫になった」
「膝が痛くて歩きづらい」
「腕を上げるとすぐだるくなる」
「筋肉痛が何日も取れない」
「街中の階段で子どもに追い抜かれた」
「自転車で坂を登りきれなくなった」
「腕立て伏せが二回もできなかった」

 五〇代になってもまだまだ体力があると思っていたのに、ある日、ふと体の衰えに気づいて愕然としたとか、実年齢より体力年齢のほうがずっと高いことにがっかりしたといった話もよく耳にします。
 では、体力って何だと思いますか。私たちは日常、
「体力が落ちた」
「体力に自信がない」
 などというふうに使います。
 少し専門的にいえば、体力には筋力、敏捷性、平衡性、持久力、柔軟性などの要素が含まれていて、温度調整能力や免疫力、適応能力なども含めて使うこともあります。
 ですから、
「年を取ると、どうも体力が下がって」
 というのは、そうした個々の能力が低下していることを意味していますが、私は臨床現場での体験から、とくに筋力の低下が老化を促進すると考えています。

筋肉量が減少すると生命維持能力が低下

 筋力は、その人の体質や生活環境、仕事の種類などによって個人差はありますが、年齢による変化には共通した傾向もあります。
 骨格を動かす筋肉である骨格筋に関していえば、一般的に三〇代でピークを示し、その後は低下の一途をたどり、八〇代には三〇代の筋肉量の半分ほどになってしまいます。
 ここで意外に知られていないことがあります。筋肉量は三〇代から五〇代までの二〇年間前後はなだらかに減りますが、五〇代に入るとガクンと落ちる時期があります。このとき、筋力は一気に低下するのです。
 これに「中年太り」が重なると、筋力の弱くなった体に重たい服を着たような状態になります。これでは、体を動かすのが億劫になるのもしかたないでしょう。そのまま運動しないでいると、さらに筋力は低下しますし、体重は増えます。ますます体を動かすことが億劫になり運動量も減ります。

 筋力低下→運動量減少→筋力低下→運動量減少→……

 という負のサイクルができあがっていくのです。
 気をつけなければならないのは、このサイクルに陥ると老化がどんどん加速していくことです。
 そもそもヒトは動物の仲間です。動物は「動く物」で、動くことが生命維持の基本になっているのです。
 動くには筋力を必要とします。その筋力が弱まると、動きが悪くなり、生命維持能力も低下します。ですから、筋肉は動物の生命維持にきわめて大切な役割を担っているのです(拙著『「筋肉の代謝力」が老化を防ぐ』も参照ください)。
 肥満やメタボリック症候群といえば、脂肪の蓄積が問題になりますが、おいしいものを食べて体を動かさず楽をしていると、その間に筋力が低下して生命維持能力が低下していることも大きな問題なのです。

百歳までも歩ける筋肉をつくる運動法

 筋肉を鍛えるために運動が必要であることは、誰でもなんとなく感じていることでしょう。しかし、中高年期に入るとそれほど力仕事をするわけではないし、普通に生活できればいいからと、筋肉を意識することがほとんどなくなります。
 しかし、筋力の低下(=筋肉量の減少)は、五〇代、六〇代、七〇代と高齢になるほど、腰痛や膝痛、内臓機能や代謝機能の低下、寝たきりなど、生活の質(QOL)を大きく損なわせることになります。
 しかも、医療の世界では、そのことが明確に説明されず、中高年期の老化防止や健康維持のために「筋肉量を増やす」運動指導はほとんど行なわれないままでした。そんなことは、昔も今も医師が行なう医療の範囲には入っていないと言えば、それまでですが。
 そこで本書では、三〇代を境に筋力が下降期に入る中高年の体で筋肉がどんな役割を果たしているのか、筋肉の増減がどうして起こるのかをわかりやすく説明します。
 そのうえで、スポーツや趣味、労働のために筋肉を鍛えるというより、それこそ百歳までも歩ける体をつくるために、五〇代、六〇代、七〇代と楽しく無理なく筋肉を鍛えることができる運動法を紹介します。いつまでも元気でいられる、まさしく死ぬまで寝たきりにならずに歩ける筋肉をつくる運動法です。一日一〇分やるだけで運動効果を十分実感できると思います。
 その基本は、
 ・簡単にできる
 ・いつでもできる
 ・室内でもできる
 ことです。
 本書を読み終えたら、どれか一つ選んで始めてみてください。それを続けていると、二つ、三つと体が自然に求めるようになってきます。その調子で、どんどん自分の体に合った運動を生活の中に取り込んでいってください。
 きっと真に自立した健康人への道が拓かれていくことでしょう。

周東 寛

目 次

もくじ・・・60歳からはじめる寝たきりにならない超簡単筋力づくり

はじめに

筋力の低下が老化を加速

筋肉量が減少すると生命維持能力が低下

百歳までも歩ける筋肉をつくる運動法

Ⅰ 「筋力の低下」が老化を加速

筋力低下と脂肪増加、栄養漏出の三つが老化の指標

「寄る年波に勝てない」は筋肉には当てはまらない

体に合った運動をすれば筋肉量は何歳になっても増やせる

中高年になるほど運動が大事

六〇歳からの筋肉には軽い運動が最適

医療現場で生まれた筋肉にいい運動法

Ⅱ 意外に知らない六〇歳からの筋肉

筋肉には三つのタイプがある

筋線維を太くすると筋肉量は増える

白筋(速筋)と赤筋(遅筋)の違い

☆コラム 白筋と赤筋ではエネルギーを得る方法が異なる

筋肉を太くするには適度な負荷が必要

白筋と赤筋をバランスよく鍛える

▼ブルース・リー運動

Ⅲ これからでも筋力がつく超簡単運動法

足腰の筋肉全体を鍛える

▼中腰スクワット

▼骨盤スクワット

太腿の筋肉を鍛える

▼仮想ボール蹴り運動

足腰の筋肉を鍛えれば関節疾患も減少

運動には関節軟骨の劣化を防ぐ働きもある

下半身の関節筋肉を鍛える

▼中腰歩き運動

膝の筋肉を鍛える

▼中高年向き膝の屈伸運動

▼踵持ち上げ運動

骨盤周辺の筋肉を鍛えて腰痛を防ぐ

▼「ゴキブリ体操」「ゴキブリディスコ・ゴキブリサンバ」

▼グランドスイミング

ふくらはぎの筋肉をつける

▼つま先立ち運動

体の軸を安定させ、歩く力を強化する

▼片足立ち運動

▼両膝引き上げ運動

▼両膝横倒し運動

腰に負担をかけず腹筋を鍛える

▼中高年向き腹筋運動

肩の筋肉を鍛える

▼YMA体操

腕の筋肉を鍛える

▼中高年向き腕立て伏せ運動

背中の筋肉を鍛える

▼バッククロスアーチ

▼仮想ボール抱え込み運動

ふだん使わない筋肉を同時に鍛える

▼体反転運動

▼体持ち上げ運動

Ⅳ 六〇歳から身につけたい体にいい運動習慣

運動習慣のある人ほど健康で長生きする

宇宙飛行士の体に起こった「廃用障害」

便利な生活が「廃用障害」を招き寄せる

運動にはこんなにたくさんの健康効果がある

☆コラム サイクリックAMPが増加すると細胞が活性化

運動は本人の努力でできる自立した健康法

運動は健康にいい生活習慣をつくる

運動は自律神経を安定させる

運動は骨の劣化も防ぐ

▼コツコツ骨叩き

運動すると呼吸が深くなる

▼胸郭緩和運動

体に合った運動はいい睡眠につながる

☆コラム 眠りを妨げるイビキ、無呼吸症候群の原因

有酸素運動が中高年期の運動の基本

酸素の消費量が急激に高まる運動は避ける

健康な自分をイメージしながら運動する

体の動きをよくする一五の習慣

Ⅴ 中高年の体の中でほんとうに起こっていること

高度の画像診断で判明した「漏れる」現象

①筋肉からタンパク質(アミノ酸)が漏れる

②皮膚とその皮下組織からコラーゲンが漏れる

③骨からカルシウムが漏れる

☆コラム 骨から漏れたカルシウムは血流障害や結石の原因にも

臓器の間に脂肪がたまると臓器が萎縮する

熱が出ないから肺炎ではない、とはいえない

筋肉、骨にも脂肪はたまる

プロフィール

周東 寛(しゅうとうひろし)

1978年昭和大学医学部卒。1980年、昭和大学藤が丘病院呼吸器内科入局。1986年、自らの医療方針を実現するため駅ビル医院「せんげん台」を開院し、1990年に医療法人健身会を設立して理事長に就任。2003年には南越谷健身会クリニックを開院し、院長に就任。昭和大学医学部兼任講師。医学博士。

開業以来、西洋医学に東洋医学を取り入れるとともに、食事指導、運動指導や最新の検査機器を導入して予防医学にも尽力。2007年には厚生労働省認定運動施設医療法・42条施設『健康ひろば』を2施設に設立。また心身医学療法にも取り組み、トータルヘルスの実践に務めている。